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優雅な気品をまとった名作クロノグラフを復刻


最近、業界の人に聞いたところ、近頃のお客様は10年前に比べて時計に関する知識が少なくなっていると感じているそうです。それはあなたのおっしゃることとほぼ矛盾しているようにも思います。しかし、情報が簡単に手に入るようになった一方で、流行に流されやすくもなっています。人々の教養が高まっているのか、それとも流行に左右されやすくなっているのか、あるいはその両方なのでしょうか?
 私は両方の組み合わせだと思います。人々は、いわゆる「興行成績」を追う傾向があります。多くの人に評価されているものが悪いはずはない、という考え方です。現代の優れた芸術家は誰かと人に聞くと、まず作品の価値が市場でどのくらいかと聞かれるでしょう。そして、それが数百万ドルであれば「それなら良いに違いない 」と言うのです。世の中には、家族や親、友人からの推薦よりも、世間一般に「良い 」と認められているものを信じるという、そういった枠組みがあります。

 ワイン評論家のロバート・パーカー氏が「これはいい」と言えば、自分の好みに自信がない人はそれに従うでしょう。「一番間違いないところに行きたければ、自分の前に他の人たちが選んだものを参考にする」ということです。

 そして、概してその考え方は使えます。一流ブランドのベストセラーモデルを見ると、大抵そうなる理由があります。たまたまではないのです。昔の人は、雑誌や新聞を読んだり、家族に何が正しいのか教えてもらったりしていました。今は、集合的な知性があります。ある意味では楽になりましたが、だからといって安直に知識が少なくなったわけではありません。むしろ、集合知への信頼が高まっていると言えるでしょう。


Olivier Arnaud © Cartier

クラシックで時代を超越した不朽のデザインへの再評価について、多くを語っていらっしゃいますね。プリヴェ コレクションのクロシュはその一例のようです。プリヴェ コレクションで注目する時計はどのようにして決めるのですか? また、デザインを変更する場合、あるいは変更しない場合の創造的なプロセスはどのようなものですか?
 私たちはオリジナルのアイコニックなデザインに回帰しようと考えました。それには、パンテールやパシャのように、広く販売され高い評価を得ている時計も含まれます。過去に作られた美しいシェイプのものはたくさんあります。そこで私たちは、それらを1つずつ再訪していこうと考えました。カルティエ プリヴェでは、クラッシュに始まり、タンク サントレ、クロシュへと続きました。次は皆さんからのウィッシュリストを受け取る番です!

 私たちの元へはたくさんのリクエストが寄せられています。我々は、ヴィンテージの手法で、ヴィンテージと全く同じ形、同じプロポーションのものを作ることができます。例えばサントレの場合、機械式ムーブメントを搭載していますが、薄すぎて完全防水ではありませんが、コレクターはそれを知っています。

 しかし一方で、初期のデザインを現代のプロポーション感覚に合わせるにはどうすべきかとも考えます。今のお客様が求める品質や耐久性を満たすには、どのようなムーブメントを搭載すればいいのか。あるいは、本当に付加価値のあるスケルトンのムーブメントを入れることは可能なのか? また、オリジナルの形状を採用する場合、複数ある場合があります。例えばタンクですが、1918年から1930年代にかけて、非常に多くのバリエーションが存在していました。

 最終的には、美しいものでなければなりません。もし、大きすぎたり、プロポーションがうまくいかなかったり、ムーブメントがうまく収まらなかったりした場合は、考えた末にやらないことにしています。正しいと思えないことは、やる必要がないと考えます。

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