緊急事態宣言も出たので、三連休と言えど外出は控え、ディープ・スペース・レゾナンスの解析をしたりしていましたが、11日(月)にノーブルスタイリング葛西氏より、クレヨン(Krayon)のエニィウェア(Anywhere)の実機が到着したとの報があり、居ても立っても居られず、恵比寿のノーブルスタイリング・ギャラリーに駆けつけました。
2018年にこれは凄い!から始まり、レミが来日したイベント、ヌーシャテルでの邂逅、Barton7、などなど…思えば遠くに来たもので、エニィウェアも本来であれば去年のバーゼルで拝見できるはずでした。
日本ではイベントでスポット的に見る機会はありましたが、今回は数週間程度の期間でギャラリーに置かれるとのことで是非ご覧になっていただきたい!という事でレポートします。
メカについてはより詳細な以前の記事もあわせてご覧ください。
今回の個体はホワイトゴールドケース、ブルー文字盤のモデル。
文字盤には、6時位置のシンプルカレンダーを中心として地球儀を思わせる放射状のギロッシェが刻まれています。
外周部にはクレヨンを特徴づけるコンプリケーションの地球上の任意の位置の日の出・日の入り表示を部品交換無しで実現するユニバーサル・サンライズ・サンセットの表示を行うサファイアクリスタルディスクと太陽を象った24時間針が配置されています。
エブリウェアではカレンダーの「日付」に加えて、「緯度」「経度」「UTCからの時差」を設定・表示するための機構と針があり、より複雑な文字盤でしたが、エニィウェアでは日付以外を時計師が裏蓋をあけて調整する事前設定式にしたため、ぱっと見では通常の三針時計のようにも見えます。
セコンドがないので二針か…
ムーブメントは特徴的なネジが見えないブリッジを採用した構造。
上半分が一般的なムーブメントに相当する計時輪列、下半分が日付から日の出日の入りを求める「機械式計算機(Mechanical Calculator)」です。
デモ用のためか、かなりの高緯度(カムが大きくオフセットしている)にセットされています。
逆回転を防止するコハゼは古典にみられるものの、現在ではほとんど使われない板バネを使ったもので、カリカリ…と言う巻き味の官能的なチューニングもなされた選択と理解しました。
香箱には遊星歯車を使った連続動作型の巻き止めが設けられ、古典的なゼネバ機構を使ったものよりトルク変動が少なく、破損にも強い構造となっています。
今回、巻き止まるまで巻かせていただきましたが、停止位置も分かりやすく、ブロックする力も強いのでよほど手荒なことをしなければ破損はしないのではないかと思いました。
トルクの小さな香箱を高速回転で使ってエネルギーを確保するという考え方のためか、巻き味は比較的軽いです。